日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.179 2012年12月号 掲載


【第8回】当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第8回目は、「紫外線」についてです。


質問:紫外線について
R子さん(23)学生

ビーチに行った時に、日焼けしてしまって

 夏の太陽といえば、まず気になるのがオーストラリアの紫外線。南極オゾンホールの影響で、日本の数倍の紫外線被害が懸念されているオーストラリアでは皮膚がんの発生は世界一といわれ、紫外線防御対策に国中が取り組んでいます。年間で紫外線が一番強い時期は11月から2月まで、午前10時から午後3時はそのピークに達します。曇っていてもその紫外線の強さは相当なもので、要注意です。

 オーストラリアで必ず守るべき紫外線対策は、長袖のシャツや長ズボンなどで肌に直接日が当らないようにする、帽子(つばのあるもの)をかぶる、サングラスをかける(目には日焼け止めを塗ることはできません!)、全身くまなく日焼け止めを塗る、この4つです。

 日焼け止めは、日本ではSPF50などという数値のものがありますが、オーストラリアでは最大30までしかありません。SPF(Sun Protection Factor)とは、メラニン色素を作る紫外線のUV-Bの防止効果を数字で示すものです。紫外線によって皮膚が赤くなってくるのには約20分かかり、SPFの数値は、その時間を何倍遅らせられるかを示しています。SPF10の場合、20分×10で約3時間半近く効果があることを意味します。これがSPF50であるということは、16時間以上の効果ということになりますが、現実的には16時間も紫外線にさらされることはまずありません。よって約10時間効果のSPF30で十分だということになります。決してSPFの数値は高ければいい、ということではありません。また、SPFだけでなくPA(UVA防止効果)を表す+がついているもの、つまり“SPF30+”と表示されている日焼け止めが勧められます。大切なことは、日焼け止めは曇っていても必ず塗布し、プールや海に入った時には3~4時間おきに塗り直すことです。またウォータープルーフと明記されていても、長時間屋外で過ごす場合はやはり3~4時間おきに塗り直すことをお勧めします。

 日焼けがやけど状態になり、来院する患者さんがいます。ビーチで寝てしまった、日焼け止めを塗り忘れた箇所があった(特に背中の方)、日焼け止めは朝一番に塗ったきり、海に入った後塗り直していなかった…などが主な原因です。気をつけてください。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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