日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.178 2012年11月号 掲載


【第7回】当地オーストラリアにて、一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第7回目は、「アレルギー」についてです。


質問:アレルギーについて
M輔さん(30)ワーキングホリデー

目がかゆく、鼻水が止まらない

 世界の先進国では、花粉症、喘息、アトピーを含めたアレルギー性皮膚炎の発生率が高く、オーストラリアもその国の一つです。アレルギーとは、本来人間の身体内に侵入しようとする異物を排除するための免疫機能が、身体に無害な物質に対して過敏に反応している状態で、その原因はハウスダストや植物の花粉、動物、食べ物、化学物質など様々です。目や鼻の粘膜に反応して結膜炎や鼻炎などの花粉症、気管支粘膜に反応して喘息、身体の皮膚に反応して皮膚炎を起こします。

 日本では問題なかったのに、オーストラリアに来てから花粉症、喘息、アトピーなどの皮膚のトラブル、原因不明のじんましんなどを発症する日本人の方が多くいます。「なぜ?」という疑問をよく耳にしますが、必ずしもオーストラリアに来たこと自体に原因がある訳ではありません。年齢とアレルギー発症の関係についてはまだはっきり解明されていませんが、日本にずっと住んでいたとしても、大人になってからアレルギー疾患を突然発症、あるいは再発することはよくあります。もちろんオーストラリアに来れば、日本にはなかった様々な動植物に初めて接触することになるので、その発症のリスクは高くなります。特にパースは、近年雨が少ないことで草花や木がストレスを受けてさらに花粉を放出しているため、年々アレルギー疾患が増加傾向にあると言われています。また、たくさんの農場地帯が隣接しているため、数え切れない種類の植物からの花粉が宙に舞うことや、日本と違い湿度がなく空気が非常に乾燥している上、さらに海上からの冷たい空気が舞い込むため、皮膚の乾燥をすすめ、過敏な状態にしていることなどが原因で、アレルギー疾患の発症がオーストラリア国内でも高くなっています。また、近年のアレルギー疾患の増加には、昔に比べ清潔な環境になったことが影響しているのではないか、とも言われています。子どもの頃にウイルスや細菌などの感染症に対してあまり接触することがなくなり、免疫機能が外敵に対して戦うことが少ないために、接触してくる無害なものに対してまで過敏に反応し、アレルギーを引き起こしてしまうということです。

 症状の程度にもよりますが、アレルギー疾患の症状が突然現れた場合は、やはり一度GP(一般医)を受診して、適切な診断と対処法をアドバイスしてもらいましょう。花粉症に対する抗ヒスタミン剤は、ドクターの処方箋なしでも薬局で直接購入することができます。症状がひどいようであれば、ステロイド剤などの処方が必要な場合がありますので、必ず受診して下さい。

回答者:日本語医療センター
マネージャー 千綿 真美さん

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