日本語医療センター

パースエクスプレス Vol.173 2012年6月号 掲載


【第3回】楽しい海外生活を送る上でも健康は大切です。“自分は健康だから大丈夫!”と思っていても慣れない環境の中で、予期せぬ病気にかかる可能性は誰にでもあります。そんな時、少しでも医療の知識があれば、慌てなくて済みますよね。当地オーストラリアにて一般読者からの医療についての質問に専門家がお答えするこのコーナー。第3回目は、「生理不順」についてです。


質問:生理が止まっています。
C美さん(23)学生

はい…、もしうっかり飲むのを忘れた時にセックスしてしまったら、というのは不安です。

 オーストラリアに来てから生理が止まってしまった、周期がおかしい、月に2回ある、始まってから出血がずっと止まらない、など様々な生理不順の問題で当センターへ来られる患者さんは非常に多くいらっしゃいます。その原因の約80~90%は、環境の変化による肉体的、あるいは精神的ストレスによるもので、他には急激な体重の変化、まれに甲状腺などの内分泌系の機能異常や、子宮や卵巣の異常などの病的な原因があげられます。

 生理に異常がある場合は、やはりまず一度病院で受診して、ドクターに相談しましょう。大抵、血液検査、そして必要があれば骨盤内(子宮や卵巣を含む)超音波検査を行うことで、病的な原因がないかどうかを調べることができます。これらの検査によって特に何も異常がなければ、原因はほぼストレスだと考えられます。

 検査を受けて病的な原因が診断されず、ストレスが原因だと思われる生理の一時停止状態の場合、特に治療の必要はありません。ストレス軽減に努め、待って様子を見ることが勧められます。一般的に生理の一時停止状態が、約6ヶ月~1年まで続いても身体の健康や将来の妊娠能力に影響することはないと言われています。但し、1年を過ぎても生理がこないまま体内の女性ホルモンが少ない状態が続くと、通常、女性ホルモンが骨の強化に影響しているので、将来的な骨粗しょう症などの発生予防のためのホルモン剤を服用させ、生理を起こさせることが勧められます。

 最後に、気を付けていただきたいのは、“生理がない=妊娠しない”ということではない、ということです。ストレスによる生理の一時停止は、微妙なホルモンバランスの不安定によって排卵が起きていない状態ですが、これは逆に、いつ排卵が起きるかわからないということであり、すなわちいつ妊娠してもおかしくないという予測のつかない状態なのです。月に生理が2回あるというような場合も同様です。排卵がいつ起こるか不測の状態の場合に、もし性交渉をもつパートナーがあり、妊娠を望まないのであれば、きちんとした避妊対策を取るようにしましょう。

回答者:日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん

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