パースエクスプレス Vol.173 2012年6月号 掲載
【第2回】日本を離れて海外での滞在が長くなると、予期しない経験をしてしまうことも少なくないことでしょう。そうすると、自分で自分のカラダを守るために、現地の医療について一定の知識が必要になることもあります。ここでは、「どうしたらいいんだろう」と迷っている一般読者の疑問に、当地の医療の専門家がお答えします。第2回目は、「避妊用ピル(経口避妊薬)」の服用に関してです。
避妊用ピルは処方箋薬です。ドクターの診察を受けて、処方箋をもらわなくては購入できません。処方箋をもらったら、どこの薬局でもいいので提出すれば購入できます。ピルの種類と製薬会社のブランドにもよりますが、通常1箱に3ヶ月か4ヶ月分が入っており、価格は1ヶ月分10ドル前後からあります。たいていのドクターは約1年分の処方箋を出してくれますので、ピルの副作用などで特に大きな問題がない限りは、毎年ドクターに受診して次の処方箋をもらうということになります。
ピルは、毎日だいたい決められた時間に服用しなければなりません。1、2時間ほどずれても特に問題はありませんが、飲み忘れのないように習慣づけることが大切です。起床時、朝晩の歯磨きの時間など、ほぼ毎日同じ時間にしていることに合わせるといいでしょう。
ピルを飲み忘れた場合、思い出した時点ですぐにその日の分を服用して下さい。12時間以内であれば特に問題はありませんが、12時間以上(但しプロゲステロンのみのピルでは2時間以上)経過している場合は効果が落ちますので、飲み忘れた日からむこう7日間は、別の避妊方法を取りましょう。また、何らかのために抗生物質を服用する時や下痢や嘔吐などをしている時も、ピルの効果に影響しますので別の避妊法を使い、かつ抗生物質を飲み終わってから、または下痢や嘔吐が落ち着いてからむこう7日間も、別の避妊法が必要です。
こういうことがあってはいけないのですが、万が一、完全に丸一日飲み忘れた時に避妊をせずにセックスをした場合、緊急用の避妊ピルがあります(一般的にはモーニングアフターピルと言われます)。本来、性的暴力などを受けた被害者に処方されていたものですが、現在ではドクターの処方箋も必要なく、薬局で薬剤師の問診の元に購入することが可能です。
回答者:日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん