パースエクスプレス 2013年1月18日

■ Week 7/2012年11月18日/Perth Glory vs Western Sydney Wanderers戦に向けて
  11月16日の永井龍選手と小野伸二選手の独占インタビューはこちら!

■ Week 7/2012年11月18日のPerth Glory対Western Sydney Wanderersの試合後、
  ドレッシングルームから姿を現した小野伸二選手に試合についての独占インタビューはこちら!



パースエクスプレスVol.180の誌面ではお伝えしきれなかったAリーグのパースグローリー所属、永井龍選手の試合結果とインタビューを紹介します。

永井龍 Ryo Nagai
16歳から各年代の日本代表を経験し、今シーズンにセレッソ大阪からパースグローリーに移籍。21歳。身長180cm、体重73kg。




復帰後、いきなりスタメンデビュー!


【Week 13】2012年12月27日
vs Western Sydney Wanderers FC
(Patersons Stadium)1‐1

 ケガから復帰したグローリーの背番号12、永井龍はいきなり先発メンバーに名を連ね、AリーグではWeek 2以来の出場となった。選手入場では最後尾に付け、右足から白線を跨ぐ。そして、トレードマークの左手首のリストバンドも健在だった。
 試合開始早々、永井にボールが集まる。素早い切り替えしのドリブルに観客から歓声が上がる。実況中継のFOXTELのコメンテーターからは「シャープ!」と、叫びにちかい賞賛の声。クリスマス前後から続いているパースを襲う熱波により、この日も試合開始6:45pmの時点で、気温は32度あった。
 この試合でのグローリーの最初のシュートは、永井からだった。そして、永井がボールを持つと相手DFが必要以上に体を寄せる。前半17分にその永井を倒したとしてWestern Sydney Wanderersの背番号11番、Tarek Elrichにイエローカードが出された。実際、この試合で永井は相手選手から5つものファールを引き出している。被ファール数は両チーム最多で、相手チームには厄介な選手という証だろう。前半25分のドリンク・ブレイクの際には、大型電光掲示板に永井の姿が再三映し出された。
 試合は38分に動く。Wanderersの背番号7番、Labinot Halitiがポストをかすめる見事なシュートで先制。後半はグローリーペースで試合が進むも、幾度の決定機はゴールマウスをとらえることはできなかった。永井のシュートも大きくバーを超えた。ホームでの敗戦ムード漂うグローリーだったが、永井のラストパスが救う。試合終了4分前で、左サイドでボールを受けた永井はドリブルで相手DFを交わし、途中出場の背番号6番で、ゴール前でフリーだったNick Wardへ絶妙な柔らかなクロス送った。寸分狂わぬそのパスは、Wardのゴールを容易なものにした。これで、試合は振出に戻ったが、僅かな残り時間では勝敗をつけるには至らなかった。
 終了のホイッスルが鳴った途端、その場に座り込む永井。相手DFとの度重なる接触により、ゲガの再発が予想されたが、その後は立ち上がり、日の丸を掲げて応援していた日本人サポーターのもとへ歩を進めた。
 元日本代表の小野伸二が在籍するWanderersだが、年末年始の連戦を見据え、前週のスターティングメンバーから6選手も交代して試合に望んだ。小野もそのひとりで、今回のパース遠征には帯同しなかった。パースの日本人にとって、前回(Week 7)は永井がケガだったため叶わなかった日本人対決を期待していたが、今回も実現はしなかった。


<永井選手試合後インタビュー>
「先発だったので、とにかくチームのためのプレーしようと心掛けました。監督からも“仕掛けろ”の指示が出ていたので、気合を入れ、最初から全力でいきました。実は、後半開始から足にきていて、100%には程遠く、ケガからの復帰戦だったので再発を考え、止めておいた方が良かったのかもしれませんが、あの時は“やれる”と自分に言い聞かせ、プレーを続行しました。アシストをしましたが、今までの経験から、最初は何とかできてしまうんです。勢いもあるでしょう。なので、ここからが本当の勝負です。自分の長所はアシストよりも得点を決めること。もちろん、今日のプレーには全く満足できません。それと、日本人のお客さんからの声は本当に力になります。有り難い限りです。これからも引き続きの応援、よろしくお願いします」


<日本から永井選手の応援に!>
 永井選手のプレーを観るため、日本からパースへ応援に駆けつけた竹林大輔(たけばやし だいすけ)さん。セレッソ大阪のサポーターとして20年。永井選手については、中学校3年生の時から応援している。
 「日本で、インターネットでチェックしていましたが、(永井選手は)ずっとけがをしていたのに、今日はスタメンで、アシストまで記録して、素晴らしいプレーを観ることができ、いいクリスマスプレゼントになりました。海外でプレーすることは大変だと思いますが、いつかまた、セレッソでプレーして欲しいです。本心は早く帰ってきて欲しいですが、永井選手が成長するんであれば、それまで待ちたいと思います」





攻撃の起点となる!


【Week 15】2013年1月5日
vs Sydney FC(nib Stadium)2‐2

 スターティングのメンバー表には、左側にホームチーム、右側にはアウェイチームのSydney FCのメンバーが列挙されていた。そして、中段左側にグローリーの背番号12番、永井龍の名前があり、ちょうど同じ列に背番号10番、Alessandro Del Pieroの名前があった。試合はグローリーが押し気味に進める。中でもキレのある永井の動きは、グローリーに幾度のゴールチャンスを生み出し、自身も2、3度の決定機があった。そんな中、先制したのはグローリーのストライカー、背番号9番のShane Smeltz。右サイドからのクロスをヘディングで決めた。後半もグローリーペースで試合が進んだが、17分にケガから復帰した元豪州代表でSydney FCの背番号6番、Jason Culinaがダイビングヘッド弾で同点とする。その2分後、永井はベンチに退く。交替理由は、チーム首脳陣からも心配されているケガの再発ではなく、深刻ではないものの体調不良だった。前半は一方的なグローリーペースだったが、後半の中盤からは五分五分の試合展開。しかし、グローリーのストライカーSmeltzがこの試合、2点目を豪快に決め、勝負あったかと思われた2分後の後半36分、Del PieroのCKをグローリーのGK、背番号1番のDanny Vukovicが取り損ね、そのボールをSydney FCの背番号2番、Sebastian Ryallが押し込み、そのまま試合終了。これにより、勝ち点を1点づつ分かち合った両チームだが、グローリーにとっては後味の悪い試合となった。試合後の公式データによると、この試合の被ファール数は、永井が5でグローリー最多、Sydneyはデル・ピエロの6がトップで、両チームの攻撃の起点が両選手だったことがうかがえる。


<永井選手試合後インタビュー>
「試合開始の最初のプレーで、その日の自分の調子が分かる時があります。今日は、感触が良かったです。試合前は気負わずに、気持ちを入れ過ぎないようにしています。それが自分のスタイルなので。実際、開始のホイッスルが鳴った瞬間、我を忘れ、入り込んでしまいます。今日の自分のプレーでは、ペナルティエリアまでのプレーは悪くなかったと思います。次は、もっとフィニッシュを意識して、試合に臨もうと思っています。今は公私共に、とても充実しています。楽しいです。セレッソ(大阪)の時に比べて、スターティングで使ってもらっていますし、プロになって初めて充実した時間を過ごしているかもしれませんね。クラブ、チームからも期待されているのも分かっています。自信も付いてきています。確かに今日の試合で、2、3点決められる場面はありましたが、“あの時、こうしていれば良かった”と振り返る必要ななく、“次を考えよう”と思えています。成長している自分がいる、と感じていますし、サッカーの面以外にも人間性の面でも成長させてもらっています。パースに来て良かったと思っています。でも、満足せず、今の自分の成長を継続させることに集中したいと思っています」





2013年1月 パースグローリーのホームゲーム

1月19日(土曜日)
Perth Glory vs Melbourne Victory FC
7:00pmキックオフ
会場:nib Studium
住所:310 Pier St. Perth
アクセス方法:パース駅からArmadale線、Midland線、Thornlie線のいずれかの電車に乗り、2駅目のClaisebrook駅で下車。徒歩5分。

1月26日(土曜日)
Perth Glory vs Brisbane Roar FC
6:45pmキックオフ
会場:nib Studium
住所:310 Pier St. Perth
アクセス方法:パース駅からArmadale線、Midland線、Thornlie線のいずれかの電車に乗り、2駅目のClaisebrook駅で下車。徒歩5分。


チケット:【当日】大人:25ドル、子ども15ドル、コンセッション20ドル、家族65ドル


―記事一覧へ―